人生研究会 活動日誌

「人生を楽しむために必要なことを全部する!」人生研究会です

【ポリアモリー×シェア居住 雑談会】9月12日(土)

〈テーマ〉

「シェアハウスとポリアモリーは相性が良いのか!?雑談会」

 

 

● 今回の目的

親戚関係にない複数人での居住形態である「シェアハウス」。東京でも地方でも一気に増加しており、様々な運営方法が試みられている。

また「ポリアモリー」という恋愛スタイルも日本に広まりつつある。「複数の」を意味する「ポリー(poly)」と「愛」を意味する「アムール(amor)」を組み合わせた言葉で、「全員の合意のもとで1人ではないパートナーと恋愛的な関係を築く」恋愛のスタイルのことだ。

 

現在私はシェアハウスに住んでおり、また色々なシェアハウスにお邪魔する機会も多い。その中で、シェアハウスには「恋愛の相手が1人ではない」恋愛スタイルを選択している人が多いように感じている。

 

もちろんシェアハウスに住んでいる人が全員ポリアモリーというわけではないし、すべてのシェアハウスが当てはまるわけでもない。またもしも「つまり乱交シェアハウスってこと?」なんてイメージを抱いた方がいるなら、それはポリアモリー及びシェアハウスに対する全くの偏見で最低の感想だと思う。

 

完全なる経験則から感じただけの疑問なのだが、シェアハウスに触れるうちに私は「なぜシェアハウスにはモノガミー(一対一の恋愛を好む人)でない人が多いのか」と不思議に思った。

 

これはさらに、「そもそもこの疑問は的を射ているのか」という疑問や、「もしシェアハウスにモノガミーでない人が多いとしたら、その理由は何故なのか」という疑問へ分裂していく。

 

今回はこの超個人的な疑問点を解決したくて会を開催した。

 

なぜシェアハウスとポリアモリーは相性が良い / 相性が良いと感じるのか。シェアハウス在住経験者やポリアモリーの方、またそれらに興味関心のある参加者の方々で会話を重ねる中で見えてくるものがあるのではないかと期待する。

 

⭐︎  正直なところ今回の問題意識はマジで私の超個人的な直感に基づくものでしかなく、人生研究会で開催するか迷っていました。しかしきのコさんに提案したところ、「同じことを感じており、ぜひ話したい」と仰ってくださったため開催を決めました。きのコさんありがとうございます!!

 

 

〈参加者〉

シェアハウス在住&ポリアモリー きのコさん

シェアハウス在住&計画中 たかせ

シェアハウス計画中 Mさん

シェアハウス運営中 Sさん

色々なシェアハウスに居住経験 Kさん

オープンマリッジ実践中 Uさん

集合体としての家族の住み方に興味 Dさん

複数の男女が仲良くできたら良いな Hさん

 

 

 

Q.  ポリアモリーとシェアハウスは相性が良い?

 

たかせ「シェアハウス運営者の方何人かとお話しして、『一緒に住んでいると自然と同列に好きな人ができる』『好意を向ける相手が一度に1人とは限らない』という方が結構多いなと思ったんです。住人にもそういう人が(恐らく世間一般の平均値より)多いなと感じて。」

 

きのコさん「勿論全員じゃないけれども、シェアハウスの暮らし方が居心地良く感じるポリアモリーは多いんじゃないかな。自分自身いまシェアハウスに住んでいるし、前は住み開き(住居の一角をセミパブリックに開くこと)をやっていた」

 

たかせ「実際に複数人との恋愛を実践するかどうかは別として、実践しないけれど複数人を大切に思い、大切に扱いたいと考える人がシェアハウス関係者には多いなと思う。それで、ポリアモリーやポリアモリー的な感覚とシェアハウスって被るところがあるんじゃないかと感じて。でもうまく言語化できないんです。何故なのかを」

 

きのコさん「人間関係がクローズドでありたくない人が多いね。あとサラリーマンが割といなくて、経営者やフリーランスが多い」

 

Uさん「パートナーとの関係性が2人きりに閉じるのがすごく怖い。だから個人の空間がありつつ、共有空間でちゃんと関係を開くことができる……そんな生活がしたい」

 

たかせ「人間関係を閉鎖的にしたくない人が多い、っていうのがポリアモリーとシェア居住の相性の良さなんでしょうか……? いや、でもモヤモヤする。

 

たかせ「関係をオープンにできる、以上の住みやすさがシェアハウスにはある気がする。もっと、恋愛やパートナーとの関係と関わらない些細な日常生活的な面でも過ごしやすいような気がするんです。まだ……言語化が……足りない………っ

 

きのコさん&Uさん

「でもシェアハウスって言ってももっと不自由なとこも多いよね」

「あー、前住んでた業者管理のとことかは凄かった!調味料ズラーって!あれはどうにかならないかなって思ったな」

「調味料ズラー?」

「1人1人が台所の棚に調味料を置くから同じ調味料が大量に並んでるんだよ、ズラーって」

「あと来客が許可制のとこもあるし」

「反対に住人の男が心配だからって理由で部屋に入ってきた場所もあったな」

「ポリアモリーとシェアハウスの相性といっても、シェアハウスにも色々な形態があるよね……」

 

たかせ「確かに……。じゃあどのようなシェアハウスがポリアモリーと相性が良いんでしょう?

 

 

● シェアハウスにはどのような形態がある?

 

運営形態や管理人の有無、住人の条件などで雰囲気も自由度もかなり違う。

ざっくり「業者管理型」「個人経営型」に分けられるが、参加者が住んできた経験からシェアハウスを大別してみると大体以下のような感じだった。

 

 

〈業者管理型〉

安全重視&閉鎖傾向

 

「キッチンに同じ調味料がズラリと並んでいた!」と語ったUさん。

たかせの居住するシェアハウス(個人型)では塩や砂糖などある程度共用しており、使われたくないものには名前を書いている。そのため異常な量の同じ調味料がズラリと台所に並ぶことはない。

 

しかし確かに居住人数が増えてくると使われる量も増えるだろうし、フリーライダーも多そうである。

 

調味料を共益費から出せば改善されそうだが、料理しない人には意味のない出費となる。「支払いに対し絶対・確実に商品やサービスが自分に返ってくる」ことを厳密に求めるなら、共用費というのは遊びのないお金になってくる。つまり、全員が絶対確実に使用する電気水道などのサービスのみに発生するお金のみを取り立てるものになる。

 

これは金銭的なもめごとを出来る限り確実に回避しようとする「安全傾向」と言えるだろう。業者経営では企業責任が問われるため、ゆるさのない運営形態になりがちなのかもしれない。

 

ほかにも外部の人間を招いてはいけない所や招きにくい所も多いようだった。

 

業者管理型では個人経営型に比べて

 

・設備はシェアしても物はシェアしない

・外部の人間を招きにくい

・問題が起こらないことや安全性を最優先する

 

傾向が大きいのではないかと感じた。

 

 

〈個人経営型〉

① 個人経営かつ閉鎖傾向の場所

個人が家主をつとめており、閉鎖的で来客を歓迎しないシェアハウスがあるという。

それってただのルームシェアでは……?

 

参加者からは「独裁政権みたいになりかねない」「閉鎖的で怖い」などの声が聞かれた。仲良し数人などで住人を固定して住むならともかく、あまり知らない人同士で閉鎖的な環境に共同居住するのは怖い。世の中には、好き同士で同棲したはずが暴力沙汰に繋がるようなパートナー同士・家族間の事件があまりにも多い。

 

「外部の目が入らない閉鎖環境」への抵抗感が強い人には、個人経営かつ閉鎖的な環境のシェアハウス・ルームシェアは向かないかもしれない。

 

 

② 個人経営かつ住み開きの場所

所有のかきねが緩い / ポリアモリー的には最も住みやすい形態?

 

「住み開き」という言葉がある。「住み開き」とは、「自宅の一部を開放してパブリックな空間とすること」だ。

家を開くことで生まれるコミュニティ|ゆうか|note

 

SUUMOのWeb辞典では「自宅の一部を主にギャラリーやカフェ、教室として使用すること」と説明されているが、シェアハウスにおける住み開きは別に固定の営業空間ではないことが多い。

 

リビングルームへ友人や恋人を連れてきても良いし、トーク会などのイベントもやれば料理会や映画鑑賞もできる。ただお喋りしたりゲームをしたり飲み会をしたりするためだけに集まっても良いし、一人で寛いでいても良い。かなり自由度の高いセミパブリックスペース、という説明が最も的確に思える。

 

先述した閉鎖型シェアハウスではなく、このような「住み開き」を実践しているシェアハウスでは、まず「家に入れて良い他人」の幅がかなり広い。

 

また、調味料や洗剤、本や漫画・ゲームなども個人の完全な所有権を離れて広く使われたり、シェアされたりしている。

 

「このタイプが最も居心地よく感じる」ときのコさん。会長自身モノガミーよりはポリアモリー寄りの人間なのだが、同じく「住み開き」のシェアハウスが一番住みやすいのではないかと感じる。

 

ではなぜ、ほかの形態ではなく「個人経営の住み開きシェアハウス」なのだろうか。モノガミーではない人間に「相性が良い」「住みやすい」と感じさせる要因は何なのだろうか。

 

 

 

● 個人経営住み開きシェアハウスとポリアモリーの共通点

 

会話を重ねていて気付いたのは「所有」の意識に関する共通項だ。

 

合意のもとで複数の恋愛関係を築くポリアモリーでは、好きな相手を独占したいという「所有欲」とのバッティングが起こる。

 

「そもそも人間は誰かに所有されるものではなく、相手の人生はすべて相手の自由であり、自分にはいっさい束縛する権利などない」という価値観を完全に貫ければ、そのような葛藤は起こらない。

 

しかし、おそらく多くの人(世間のマジョリティ)にとってはこれは難しい。

 

好きな相手には自分を優先してほしいし、相手には相手の自由があるとわかっていても不安になったり「なんで会ってくれないの!」と怒ったりしたくなってしまう。

 

ポリアモリーは「一対一の閉鎖的な所有の関係」を手放す生き方だ。それは言い方を変えれば「所有」という概念に真っ向から対立していると言える。

 

 

一方でシェアハウスはどうか。

 

1人ぐらしや家族暮らしでは、家や部屋にあるものはすべて自分か家族の所有物だ。

 

業者管理型のシェアハウスでも、共用設備や電気ガス水道光熱費など以外は「個人」の枠組みで管理されており、「所有」の枠組みがはっきりしていた。

 

しかし、個人経営型で住み開きのようなシェアハウスでは、多くがリビングスペースの本やゲームを共有している。元が個人所有であったとしても自由に読んだら使ったりして良いようになっていることが多いし、調味料や食材の線引きもどこか曖昧なところがある。調理器具や他のアミューズメント用品などもそうだ。

 

この形態では、他の人に自分の買ったものを使われたり破損されたりすることがありうる。失くされたり損をすることも十分にあり得る。自分ばかりがサラダ油を補充していて他の住人は全く買ってこないとか、自分ばかりゴミ出ししていて他の人は全然やらないとか、そういった問題や不満点が積もっていく要素が満載である。

 

しかしそれは、「所有」意識の高さと大きく結びつくだろう。

 

自分のものを使われたくない、自分が買ったものなのだから僅かでも他人に与えたくない、というのは「所有」意識が強ければ強いほどセンシティブに起こる感情ではないだろうか。

 

私の住んでいるシェアハウスではこれが逆に上手いように回っていて、誰かが家庭用プールを買ったら他の1人が水を入れるためのホースを購入し、他の1人が蛇口とホースのアダプターを購入する、などのイベントが時折発生する。

 

シェアハウスで楽しく過ごすには、たぶん他の人が与えてくれたものがあればその分他のものでお返ししようとする姿勢だと思う。誰の所有物か明確でなくても、全員の生活が向上するような物品を購入できるのなら良いか、とか。サラダ油は自分ばかり買っているけれど、塩と砂糖はいつも他の人が買ってくれているな、とか。

 

あいまいでありつつも、お互いに一緒にいることでメリットが発生する関係性。足を引っ張り合うのではなく、助けあったり楽しんだりしあえる関係性。

 

そんな関係性を築いていきたいという心の意識が、ポリアモリーとシェアハウスでは共通するのではないか。

 

今回の雑談会を終えて、わたしはそんなふうに感じた。

 

 

↓↓↓↓↓

最後にまとめ

「シェア」という概念を追求した歴史上のものについて勉強したい!という話題と、反対に「シェア」と対立する概念について考えてみたいという話から、

 

【次回以降やりたいこと】

 

① 「シェア」とポリアモリーの親和性という観点
宗教とポリアモリーの親和性の高さ
共産主義とポリアモリーの親和性の高さ
ヒッピー文化の系譜

② 対立しがちな概念について考えたい
物の所有
潔癖症的な傾向
向社会性や社会貢献の必要性(これが無い人は難しいのではないか。)